お金が増えない人は、お金を捨てる人。「捨てさせられる」ワナ
トレード記録や収支をつけていない方もいるかもしれませんが、恐ろしい話です。
どういうことかというと、微細な約定ズレ、スプレッド等を始めとして、
自分が考えていた以上に利益が目減り・もしくは損益が拡大する要因に、永遠に気づけないためです。
事実が確認できなければ、対処のしようがありませんので、
そうした意味でもトレード記録をつけることは非常に重要になります。
手法のブラッシュアップ以前の問題です。
手法に躍起になる前に足元を見ることは、
退屈ながら勝敗を決定的に分かつ要因になります。
多くの場合、上記のような状況が個人投資家の損失を生み出しています。
さらに、損失に対する非合理的な振る舞いがその損失を加速させています。
逆に言えばここさえ解消出来れば、
負けない=勝つためのハードルはグッと下がります。
トレード記録をつけない、
ということは怠慢以外の何ものでもありませんが、
それは日常においても顕著に現れます。
というか、日常が怠慢であるからこそ、そうなるのではないでしょうか。
日常にも市場にも、人間の怠慢に漬け込んだ「罠」が溢れかえっています。
日常に潜む無駄金
民間の契約商品の代表格と言えば携帯電話ですが、
よく調べない人から搾れるだけ搾り取る、
と言った慣習が何年も続いています。
街頭の販売ショップで購入すると、
不要なオプションがこれでもかとついてきたりします。
多くの場合は月額課金型なので、気にしない人は、
使いもしないオプションに対して永遠と支払いを続けることになります。
これは、真に「無駄金」と言えます。
本来、商品と貨幣の交換によって、
購入者は商品から新たな価値を得ることができ、
販売者は販売益で新たな商品を開発したり、自らの生活を豊かにします。
そうして価値が創出されるはずが、無意味にお金を支払い続けて、
自らは何も価値を得られない構図が出来ています。
こうして、眼に見えない搾取のシステムがどんどん広がっていきます。
日本は衰退局面にありますから、
こうした詐欺まがいのビジネスモデルが横行しています。
限られたパイの中で、如何に奪うかという構図が生まれています。
地方の家電量販店なんか恐ろしいものです。
外資企業によるサブスクリプション型商品はまだ生易しいものですが、
国産のサブスクリプション型商品は価値の創出は二の次だったりします。
当然、携帯電話だけではありません。
保険、不動産、証券会社、税金……
それらに対して「なんとなく」お金を差し出しているならば、
それを精査してみると、資産は驚くほど目減りしているはずです。
稼ぐ以前に自衛が重要?
こうした局面にあるわけですから、「自衛」は欠かせません。
金銭面における「自衛」で最も大事なこととは、
「自分が何に対してお金を支払っているのか」に尽きます。
本質的に価値を感じていない対象に対して、
お金を支払っている可能性が非常に高いのが現代です。
例えばタバコの依存者は、
タバコに対し本質的に価値を感じていない人がほとんどではないでしょうか。
彼らはタバコをやめたい、やめたいと言っています。
また、僕は不要なものを一切もたないように心がけているので、
他所のお宅にお邪魔すると不用品の多さに驚くことがよくあります。
生活の「一般常識」は基本的に、不用品を増やす方向に向いています。
というのも、掃除用の「洗剤」なんかは一種あればそれで充分なのですが、
各用途ごとに揃えることが普通のように商品が揃っています。
壁掛け時計が「必要」になるほど時間にシビアな人はそういないでしょうし、
ラグなどはホコリが立つ上に掃除がしづらくなるので不要です。
本当に必要なのかを突き詰めるほどに、
家の中に必要なものはほとんどないことに気づきます。
結果として、メンテナンス費用も軽減され、
購入時の支出も削減でき、引っ越しだってラクになります。
もちろん、趣味で好きなモノを集めることは結構ですが、
「なんとなく」支出している人は、
「自分が何に対してお金を支払っているのか」に眼を向けるべきだと思います。
月5,000円の「無駄な支出」を1年継続しただけで、60,000円になります。
年収が600万円なら、1%に相当します。
その1%で何ら価値を得なかった場合、単にマイナス1%です。
大したことがないと思うかもしれませんが、
その60,000円で何らかの価値を得たとしたら、
その得た価値が2倍以上の価値に換算できるとしたら……
12万円=2%相当であり、マイナス1%との乖離は3%=18万円です。
プラスの場合とマイナスの場合の乖離に着目してみると、
得てして無視できないサイズになって来ます。
もし収入に対し5%もの無駄な支出があると、目も当てられません。
乖離は10%以上にもなる可能性があり、相対的に貧しくなります。
だからこそ、無駄金は徹底的に削らなければなりません。
無駄なモノを削っていく習慣が出来上がると、
自然と収入が支出を上回るフローが出来上がります。
つまり、勝たなくとも勝てる可能性が出てきます。
市場でもこれと全く同じことが起こります。
価値以外に資金を投じない
市場参加者の大半は本能に忠実であり、また怠惰であるため、
そうした人がいわゆる「養分」となり、
勝ちトレーダーやブローカーに対して利益を提供します。
勝ちトレーダーにとっての損失は「必要経費」ですが、
負けトレーダーにとっての損失は単なる損失です。
支払ったお金が一切価値に結びついていません。
その事実を受け入れられないために、
「授業料」などと訳のわからない言い訳で納得して、反省しません。
相場であれ、生活であれ、お金を遣う以上、
その価値を最大化させるべきではないでしょうか。
一体お金を何に遣っているのか。
単に、この姿勢の差異が、確実に勝敗を分かちます。
収入が増大するに伴って、支出も最大限増加するのは一般的な事実です。
500万円の収入があれば、生活レベルもその年収に併せて引き上げられ、
結果的に大してお金は残りません。
年収が2,000万円を超えてくると、
支出に対してそう気を配らなくてもそれなりにお金が残りますが、
1,000万円以下ですとそうはいきません。
結局、お金を欲しいと思っている人の大半は、
年収が○○万円を超えれば、
支出に対して余計な気配りをしなくて済むから、
とか、そんなレベルなのではないでしょうか。
いくら年収が増えても生活がラクにならない、
と語る人がこんなにも多いのは、
支出に対する意識が欠落しているせいではないでしょうか。
どのスケールであろうと、無価値なものにはびた一文支払わない、
これは富の最低原則だと考えています。
ケチや節約、とは別次元の話です。
年収がいくらになろうと、この原則を外れると崩落は早いでしょう。
とにもかくにも、お金の遣い方
よく「エントリーチャンスを待つべき」と言いますが、
僕は待つというより、
ただ単純に無価値な局面に対してお金を投じない、という考えです。
待っても追ってもいません。
相場が存在する限り、その機会は必ず来るためです。
しかも何度でも。
そこで損失が出たとしても、期待値を積めたのであれば有意な投資ですし、
そうでなければ無駄でしかないので、ポジポジ病は全く発症しません。
ほとんど、日常感覚とリンクしています。
大勝ちしていたトレーダーが破産するのは、よくある話です。
その理由は、日常のお金の遣い方に現れているはずです。
敗北が「必然的に」生まれる原因がここにあります。
利益も損失も必然的にもたらされます。
負けないための原則、
それは「手法」などのやり方ではなく、
お金をどう遣うのか、その意識と姿勢の在り方、
それらが非常に重要です。
そしてお金を遣うことは本来、
交換者が互いに価値を生み出せる、素晴らしい行為であるはずです。
ぜひ、支出に関わる自らの意識を、見つめてみて下さい。