まぐれとギャンブル。僅かな勝率が生む爆益
カジノゲームは基本的に、極わずかにカジノ側に有利な勝率を設定することで儲けています。1日に沢山の客が出入りし、カジノ側は合計で何万ゲームと試行するために、特に不正なくとも理論値に近い収益を得ることが可能です。
逆に、極わずかでもプレイヤー側に有利な手法を見つけ実践したら、瞬く間に出禁にされます。
「異常値」が検知されればすぐにスタッフに肩を叩かれ、お食事券を渡されてオサラバです。
勝てる手法の代表格として、ブラックジャックのベーシックストラテジー、カードカウンティングが有名ですが、あれは1~2%だけ損益分岐点を上回らせる手法です。
1~2%だけでも、カジノゲームでは相当なエッジになります。
なので基本的にどのカジノでもカウンティング出来ないように対策されているか、見つかり次第出禁対応です。
まぐれの可能性
カジノゲームで勝ち越すには、ヤメ時が肝要と言います。ヤメ時にこだわったとしても長期的には負け越すので、短期的に勝って終えるということですね。勝ち逃げです。
そこで1%のエッジが相当なものになるとはどういうことなのか、見てみます。
まずこれは勝率50%、リスクリワード1のゲームを資金管理ナシで5000回試行した場合のシミュレーションです。1%下げるだけで、±ゼロ付近を軸に延々行ったり来たりを繰り返します。
見ての通り大きく勝ち越す区間もあり、期待値ゼロの手法を繰り返しても大きく勝つ可能性があることがわかります。
勝率50%RR1では期待値±ゼロですが、あくまで理論値で、基本的には長期に渡って負け越しか勝ち越し方向に偏りが生じる場合がほとんどです。
こうしてみると、トレードで一定区間勝ち越しても「たまたま、まぐれ」かもしれないということがわかります。
次にたった1%のエッジがどれだけの影響を与えるかを見てみます。
勝率51%、リスクリワード1のゲームを資金管理ナシで5000回試行した場合のシミュレーションです。例としてこれは上手くいったパターンですが、5000回時点での理論値との誤差は+0.5%、多少上振れたとは言えかなりの安定感が出ています。
こうして大局的に見ると僅かな偏り、1%には相当の価値があります。
実は50%のグラフはEAのフォワードデータでよく見る損益グラフにそっくりなのですが、手法の確度は相場状況に応じて変化するのだから当然です。
放っておけば、±0付近に落ち着くか、スプレッドで大幅に負け越します。
1%の上積みさえ難しい
しかし、リスクリワード1で勝率51%の勝負を相場で繰り返すことは現実的ではありません。試行以前に、51%というギリギリのラインに対して相場状況が全く安定的な結果を返してくれしません。
トレードを始めたばかりのころは、高い勝率にこだわります。
勝率70%でリスクリワード2などという、非現実的な数値を求めがちです。
初心者向けの書籍等を見ると、あたかもそれが可能である雰囲気が漂っています。
決して不可能とは言いませんし期間にもよりますが、実現はなかなか困難でしょう。
僅かな偏りが生む利益と、相場でそれを実現する難しさは上記の通りです。
初心者向けの書籍等が謳う設定が、如何に非現実的かがわかります。
また、高勝率を狙えば損切り幅が大きくなることが殆どです。
仮に一貫性を持って試行していたとしても、相場変動により確度が異なります。
しかも相場変動の認識は結果論なので、試行してみなければ優位性は確定しません。
「ドローダウンかと思いきや、単に手法が通用しなくなっていた……」
こんな具合に察知のタイミングは、常に後手となってしまいます。
過去の「統計」で勝ち筋を見出したとしても、未来に通用するかは全く不明です。
バックテスト10年で通用したからと言って、次の1年有効である保証はありません。
それこそもし1カ月間ドローダウンが続いたら、手法が通用しないと踏んでやめてしまう可能性もあるでしょう。
結果的に、勝率が高かろうと低かろうと不思議とリスクリワードは1、損益は±ゼロに近づく可能性が高まります。
更にここにスプレッドや、ブローカーによる約定ずらし、ストップロス刈りなどの作為が入って来るので、マイナスになってしまいます。
トレードはギャンブル?
では現実的に、どんなアプローチを取ればよいのでしょうか?
現実的には損益分岐点ギリギリであることを見越して、可能性の高い方に賭け続ける他ありません。
先に書いた通り一寸先は闇の中で、試行を続ける他ありません。
投資というと聞こえは良いですが、実際は何もわからない未来に対して張っています。
正誤は、結果でしかわかりません。
勝率80%だろうと30%だろうと、本質的に未来は常に2分の1です。
やはりトレードはギャンブルと紙一重です。
カジノゲームの確率は常に一定で変動しません。
だから「勝てる手法」は出禁で一方的に対処されます。
対して相場は、常時変化しています。
AIが寡占状態だとしても、確率が一定のゲームとは全く別物です。
AIもひっくるめて、相場を形づくっているのは人間そのものです。
では、どうするか?
その認識と、問いの継続が何より大切なことではないでしょうか。