そもそもEA(FX自動売買)とは何なのか。
大抵の方はEA(FX自動売買システム)の存在についてご存知かもしれませんが、
その「内部」についてご存知の方は、限られてくるかもしれません。
そこで今回は、EAとは何なのかについて簡単にご説明します。
EA(Expert Advisor)はMQLというプログラミング言語で書かれた、
MT4上で動作するFX自動売買のプログラムです。
ではその内部で何が行われているかというと、
実態は驚くほど単純です。
基本は「2択」
いかに複雑なロジックであろうと、
EAは「○○なら○○する」という2択に沿って動作します。
例えば、「10pips動いたら決済」と言った具合です。
どのような条件が設定されているのか、
また条件の分岐がいくつあるのか、
EAのロジックにはこの程度の違いしかありません。
そのため非常に単純であり、
ある意味ではバカとも言えるかもしれません。
AIでもなければ当然ですが、そもそも知性がありませんので……。
トレーダーは人それぞれトレードロジックをお持ちだと思いますが、
EAの制作にあたってはそのロジックを徹頭徹尾、言語化して、
2択の条件分岐にあてこんで制作していきます。
これはウラを返せば、
我々が常日頃行っているトレードも、
実際のところ2択の分岐の結実でしかないことがわかります。
2択とは例えるならカンタンに、以下のようなものです。
- エントリーを見送る、見送らない
- 決済する、決済しない
チャートを見るたびに、暗にこうした分岐を頭に描いています。
それこそ何度も何度もこの分岐を、描いています。
これ以外にも様々な条件があり、
数値的な条件も差しはさまって来るわけですが、
(計算によってスキップされるとは言え)
その数値でさえも、Yes or Noの連続で辿りつくものです。
これらの条件が結実してようやく、
「エントリーや決済」という行動に移ります。
要はEAも人間も、
本質的には全くおなじこと(2択の分岐の連続→結実→行動)をやっている、
とも言えるわけです。
人間には不可能なレベルで「単純」
そこでEAの優位性が何かと言えば、
人間には試行できないトレードを淡々と繰り返してくれる、
という点にあります。
例として以下のエントリールールを設定したとします。
- 5分足、5MAと25MAがゴールデンクロスしたら、買い
- プラス20pipsで利確、マイナス15pipsで損切り
非常に単純な条件分岐ですが、
人間にはこれだけ単純なルールさえも徹底することが難しいはずです。
まずこの5分足ゴールデンクロスという瞬間に立ち会うために、
チャートに張り付く必要が出てきます。
(インジケーター利用はここでは考慮しません)
そして利確と損切りの注文を入れておいたとしても、
変動を待つ間に気が変わることもあります。
たったこれだけのルールの中で、
人間の心理は恐ろしいほどにブレます。
さらにトレードルールを複雑化させたり、
保有時間を増すほどに人間心理の入り込む隙が生まれます。
上はあくまで例なので、
現実的にはこのくらいのルールを守ることは出来るかと思いますが、
これを1年続けるとしたらどうでしょう。
必ず気の迷いがどこかに生まれるでしょうし、
チャートに張り付いて条件一致を待ち続けるのは困難です。
結果として、手法の持っていた本質的な期待値は損なわれるはずです。
そこでEAの弱点であり強みは「単純」であることです。
まるで魔法のような存在として広告されることもありますが、
EAは「単純なこと」を繰り返し行っているに過ぎません。
一貫性とシンプルさこそが武器になる
裁量トレーダーであっても、
勝利の必然性を掴むには「単純さ」が欠かせません。
「単純=シンプル」だからこそ余計な分岐を除外することが出来ますし、
一貫性をうみだすことが出来ます。
必然的に勝ち続けるためには、「特別なこと」をする必要がありません。
ただ淡々と、「フツーのこと」を繰り返し続けるだけです。
それが異常なほどに難しいのが、相場というだけの話です。
この「淡々と繰り返す」ことをサポートしてくれるのが、EAです。
しかしEAは「単純さ」が弱点でもあるので、
その弱点補正のために手をかけてあげなければなりません。
自動と言えど、生き物である相場を相手にしているわけですから、
状況に応じて人間の介入も必要になってきます。
その補正にかかる時間はわずかなものです。
これさえも「手間」と感じるなら運用を他人に任せるか、
市場そのものを移してしまうべきです。
EAはしっかりと運用すれば非常に有用なツールです。
少なくとも僕は、
EAの運用でチャートに張り付く時間を大幅に削減できましたし、
またトレードの一貫性を担保することにも繋がりました。
EAとの付き合い方次第で、
同じEAを使ったとしても全く異なる結果が生まれてきます。
「完全自動で、ラクして、アホみたいに儲かる」
そうした意識でEAと付き合うと、大抵ロクな結果を生みません。
「放置」は単にリスクである場合もありますし、
もしくはリワードを大きくする場合もあり、
リスク許容度に応じて選択する「手段」とも言えますが、
「テキトー」は単にリスクでしかありません。
EAを運用される際は、丁寧に付き合ってあげて下さい。