FXは絶対に勝てない。では、どうするか②割合から考える
前回の記事で、FXはマイナスサムの不完全情報ゲームである上、
一般トレーダーは圧倒的に不利な状況を強いられており、
その中で勝ち越さねばならないということについて書きました。
FXをやるとはそういうことです。
ところで、あなたが想う勝ち組の定義はどのようなものでしょうか。
シンプルに「億トレーダー」でしょうか。
「1円でもいいから毎年プラスを出す人」でしょうか。
漠然と「億トレ=勝ち組」とされている方が多いのではないでしょうか。
ですが「億トレ=何年にも渡ってプラスを出す人」と言うわけではありません。
破産を恐れず突っ込み続ける人たちの中から
「たまたま」生き残っただけである場合もあります。
いわゆる生存者バイアスで、そうした人はかなり悪目立ちします。
沢山のトレーダーがギャンブルの勝者に惹きつけられて夢を見ては、
自滅していきます。
では「本物の勝ち組」とはいったいどんなものでしょうか?
多くのトレーダーが、
リスキーながら莫大な利益を生み出すトレードに惹きつけられる一方、
安定的に利益を獲得することも求めています。
一見矛盾したこの両者の性質をバランスさせたトレーダーが、
一般的な理想像ではないでしょうか。
加えて億トレとなれば言わずもがな、ごくごく少数派です。
ではそうしたごく少数の「真の勝ち組」は、
具体的にどれだけの数、存在しているのでしょうか?
イメージしやすい卑近な例として国内FXトレーダーの数をもとに、
カンタンな推定を織り交ぜて少しイメージしてみます。
FXの勝ち組は1%以下、という話はよく耳にしますし、
「5年に渡ってプラス収支を出し続けている人は1%以下」
と言われています。
そんなトレーダーが仮に全体の内ちょうど1%だとしてみると、
一般に国内FXトレーダーの総数は約40万人前後と推測されていますから、
「5年に渡り勝ち続けるトレーダー」は、
国内におよそ4,000人ということになります。
5年という区間とはいえ、
その4,000人のうちには「まぐれ」が必ず含まれますし、
大きな額を稼いでいない人も含まれます。
そしてトレーダーが目標とする金額の多寡に関わらず、
5年に渡り勝ち越す人が、この程度に収まるということがまず恐ろしい話です。
まぐれと小口を除外したとすると、
残るは恐らく4,000人のうち半数程度ではないでしょうか。
つまり国内FXトレーダー総数のうち0.5%となり、
およそ2000人程度と推定します。
ここで一旦、真の勝ち組の定義を
「5年プラス連続収支、年利120%以上、運用益1億円以上」としてみます。
少なくとも月利7%を複利、
もしくは月利10%を単利で積み上げているという想定です。
こうなってくると、
僕の皮膚感覚では2,000人でも多過ぎるように思います。
巨額を運用する人の一部は国外に移住しますし、
国内に残る人はもしかするともっと少ないかもしれません。
それに運用資金が固まると、
資金の大半を別のマーケットに移す人も多くいます。
となると、さらに半分の1,000人でも相違ないかもしれません。
ここからまたさらに何の根拠もありませんが、
(ここまでも大して根拠はありませんが……笑)
ざっくり削って半分の500人、と考えてみると、
個人的にはようやくリアリティを感じます。
株やFXなどのトレードで年間で億以上を稼ぐ人は約13,000人ほどだそうです。
株式の投資人口は1,300万人ほどだそうです。
対して、FXは40万人ほどと推測されています。
32:1の比率です。
この比率を超ざっくりと13,000人に当てはめてみると、
12,610人(97%)が株式、390人(3%)がFXの億トレーダーということになります。
もちろん両方を扱う人もいますし、
先物やオプション等のデリバティブを扱う人もいるでしょうから、
こちらもあくまでざっくりとした推定ですが、
先の500人と近似しています。
そしてこの500人は日本の総人口に対して、約25万人に1人の割合です。
FXで「真の勝ち組」を目指すということは、
この500人と肩を並べること、
約25万人に1人の人間であること、
ということくらいに思って良いと僕は考えています。
割と甘めに見積もっているので、
もっと少なくても、自然だと思います。
しかも退場者が抜群に多いのがFXなので、
仮に人口が増えても同等の難易度であると考えます。
トレードには完全正答がなく競争でもない分、
他者を出し抜く必要がありません。
つまり本質的には、相対的に立ち位置を決める必要がありません。
自分なりにやればよいわけです。
しかし自身がFXというフィールドで成し遂げようとしていることが、
どれほどのことなのか、相対化して認識することに損はないはずです。
そもそも1%以下の世界というのは、どの業界だろうと、
一般に言う「努力」だとか、「甘い・厳しい」だとか言う世界でないことは、
想像できるのではないかと思います。
自信の願望の実現を想った時に、
今の自分の行動を振り返ってみたことはあるでしょうか。
もしくは「自身の願望とは一体何なのか」、
明確にしたことはあるでしょうか。
この1%以下の世界について、
自分なりにイメージしてみることは大切だと思います。
イメージによって、思考と行動が変わってくるはずです。
繰り返しになりますが、FXは圧倒的に不利なゲームです。
そこで凡夫が長期的に勝ち越すことはほとんど不可能です。
その世界で生きる覚悟がないのであれば、
時間とお金を失うだけなので、早々にやめておく、
という選択肢もあります。
結論は前回と同じく、
それでもやる、という人だけが勝ち続けられるのだと思います。
次回はこうした現実(ハードル)があることを踏まえて、
見えてくる選択肢、そしていかに立ち回るかについて、
書いてみようと思います。